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REELING IN THE BEAUTY OF FISHING WITH WOOLRICH. Pt.1

Mar 22, 2024

WORDS BY TSUJI , RYO MURAMATSU

PHOTOGRAPHS BY FUMIHIKO IKEMOTO

うっとりするほど美しい所作とループ。

――暖かな春の足音が聞こえてくるような晴天に恵まれた3月初旬。ふたりの釣り人が静岡の釣り場に集まります。ジェリー鵜飼さんと琉花さんは〈ウールリッチ アウトドアレーベル〉の服を着て、フライフィッシングにチャレンジします。

――普段、海釣りはするけど、川釣りは未経験という琉花さんのため、ジェリーさんが丁寧に道具の使い方についてレクチャーします。そもそも二人はどうして釣りに魅せられたのでしょうか?

ジェリー鵜飼: 昔、『SOTOKEN』っていう外遊びを研究する連載を雑誌でやっていて、メンバーの岡部文彦くんが釣り好きだから、ずっとテンカラを一緒にやっていたんです。フライは竿とリールと糸で釣るのに対して、テンカラは竿と糸だけ。シンプルだから練習すればすぐに釣れると思って。

――その連載がきっかけで釣りをはじめて、いまはフライにどっぷりハマっているのだとか。

ジェリー鵜飼: 3年前くらいに『PAPER SKY』という雑誌の企画で、仲間たちと10日間毎日釣りをしたことがあって。海釣りがメインだったけど、2日間だけ静岡の大井川の上流で川釣りをして。ガイドさんにルアーを渡されて、『簡単に釣れますよ』って言われたんだけど、全然釣れない。そもそもルアーで釣ること自体はじめてだし、キャスティングをしたらすぐに糸を押さえないといけないんだけど、それが難しくて結局一匹も釣れなかった。それがすごく悔しかったんですよ。

ジェリー鵜飼: 撮影が終わってもずっと悔しい気持ちが残っていて、夕飯まで時間があるからもう一回チャレンジしてみたけど、やっぱりダメで。そのときに同行していたカメラマンがフライフィッシングをやっている人で、ニュージーランドで釣りのガイドをやっているほどの腕前。彼に手本を見せてもらったんだけど、その所作とか、キャスティングしたときの糸のループが本当にきれいで美しくて、しかも一発で魚が釣れちゃった。見ていてうっとりするレベルで、自分もこの遊びを覚えたいって思ったし、そうすれば、この仲間たちとこれから先も一緒に遊べるなって思ったんですよ。

――“所作が美しい人は釣りが上手い” とは、釣り人たちの間でよく言われること。すべての動きに無駄がなく、さらに美しく流れるように一連の動作を行える人は、見ていて気持ちがいいものです。

――一方で琉花さんが海釣りをはじめたのは4年前とのこと。

琉花: コロナ禍で時間があった頃に、知り合いが釣り船を持っているというので遊びに行って。そのときははじめて海釣りをして、たくさんシーバスが釣れたんですよ(笑)。それでハマっちゃって、ずっと海専門でやってます。

琉花: そこからライトジギングで鯛を釣ったり、青ものを釣るようになったり。最終的にはマグロを釣ったこともあるんです。最近もリフレッシュでよく行ってますね。

――さて、準備が整ったところでようやく釣りがスタート。まずはジェリーさんが琉花さんにキャスティングの方法を教えます。

ジェリー鵜飼: まずはきれいにキャスティングをすること、あとは木に絡めないこと。それを意識しながらやるといいよ。

琉花: 普段使っている釣り竿よりもすごく繊細。軽いから、投げるのが難しい!

写真を通して自然の尊さや、アウトドアの奥深さを発信していく。

――何度も何度もキャスティングをしながら、竿の感覚を体に馴染ませていく琉花さん。次第にコツを掴んできたところで、川の上流を目指します。

フライフィッシングとヒップホップは似ている。

――続いてのスポットに到着したところで、ジェリーさんも本腰を入れます。

ジェリー鵜飼: 普段はもっと山の中にある川を攻めているから、今回はいつもとは違うアプローチになりそう。やっぱり場所によって魚の特性も変わってくるから、それを探りながら釣れるようにがんばります!

――普段から山の地図を眺め、釣りのスポットを探っているというジェリーさん。「どこまでクルマで入って、そこからどうゆうルートを辿って、狙ったスポットへ行くか。それを考えるのが楽しい」と話します。

ジェリー鵜飼: やっぱり他の釣りとフライフィッシングって全然違う。あんまり効率がよくないんです。釣るためにやらなきゃいけないこともたくさんあるし、いっぱい魚を釣りたいなら針の先にミミズをくっつければいいんだけど、そうじゃない。やっぱりフライで釣りたいんです。魚を釣るというよりも、フライフィッシングが上手になりたくてやっている感覚かな。

――フライフィッシングは、川面を流れる水棲昆虫を捕食する魚の特徴を利用した釣りのこと。それらの虫に見せかけた “フライ=毛鉤” を流して魚を釣ります。だから、そこに住む魚がどんな餌を普段食べているのか。それを考えながら、周囲の環境を見渡し、どんな植物が生えていて、どんな虫が生息しているのかを観察することが大事なのです。

ジェリー鵜飼: フライフィッシングってヒップホップと似ている。ヒップホップには、ラップやダンス、グラフィティっていういろんな要素が含まれるでしょう。フライフィッシングも同じで、タイイング(毛鉤を巻くこと)をして、キャスティングも上手にできないといけないし、魚や環境のことも知らないといけない。だから面白いんです。

――そうしたフライフィッシングのエレメントを学び、琉花さんもやり方が分かってきた様子。必要なフライを糸につけ、釣りをはじめます。

琉花: やっぱりフライを上手く投げるのが難しいですね。魚がどこにいるか考えて、その上で川がどんな流れになっているのか。魚がいる場所と川の流れを意識しながら、フライを投げるんだけど、思った場所にキャスティングできなくて悔しいです。

――はじめてのことに苦戦中の琉花さん。それでもめげずに竿を振り続けます。

琉花: 魚に合わせてアプローチを変えるのは海も一緒。なんですけど、やっぱりフライフィッシングの方が繊細で、いろいろと考えないといけないから、釣れたときの喜びはきっとさらに大きいんだろうなって思います。

profile

  • ジェリー鵜飼

    イラストレーターさまざまな媒体に作品を提供。最近は小説家としての顔を持ち、活躍の場を広げている。一方ではアウトドア好きとしても知られ、登山を筆頭にさまざまなアクティビティに精通。近年はフライフィッシングも行う。

  • 琉花

    モデル雑誌や広告などに登場する一方、Lukaの名義で写真家としても活躍。自身が旅先で撮影した写真をアパレルに落とし込んだ〈VOYAGE〉というブランドも手掛ける。趣味のひとつが釣りで、海でマグロを釣ったことも。

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